2017.09.21,

vol.3 これぞリノベーションの醍醐味!「自分たちらしい」家を考える

こんにちは!小山佐知子です。
“共働き子育て家庭の「暮らす」「働く」「育つ」が叶う家づくり” というテーマで我が家のリノベーションプロジェクトを連載でお送りしています。

前回のコラムでは、新築マンションにワクワクしなかった背景に絡めて「暮らしをイメージする家」について綴っていきました。今回のコラムでは、リノベーションの家づくりで重要となる「自分たちらしさ」について考えてみようと思います。

 

リフォーム? リノベーション?

第1回のコラムでも少しだけ触れましたが、そもそも、リフォームとリノベーションばどう違うのでしょうか? 「リノベーション」という言葉は数年前に比べてとても身近になってきたように感じるのですが、がゆえにどこか曖昧に感じていた部分もありました。

ということで、私なりにリフォームとリノベーションを定義してみました。

【リフォーム】
汚れた内装や古くなった設備を補修・修繕すること

【リノベーション】
建物や空間を修復・刷新することよって「新しい価値」を与えること

 

「補修」も「修復」も言葉の意味自体が似ているので分かりにくいかもしれませんが、「なおす」意味として、単に不具合のある部分のみをとりつくろうのか、全体的な質に影響するようなものなのかを意識して定義づけてみました。

たとえば、リフォームの場合は賃貸マンションの退去時に「原状回復」といって、クロスや畳を張り替えしたりしますよね。一般の住宅ではシステムキッチンやトイレを新調するときに「リフォームする」と表現することが多いです。

パンクした自転車でたとえれば、タイヤに空いた穴の部分にパッチを貼るのがリフォーム。これに対してリノベーションは、全体的な修復で性能や価値を向上させることをさすため、自転車であればタイヤごと取り替えて早く安定して走れるようにするイメージになります。

リノベーションも、部分的なものからスケルトン(躯体・骨組みだけにしてから行う)までありますが、リノベーションの醍醐味を感じるという意味ではスケルトンを選択する人が多い印象です。

 

「自分たちらしい家」って何だろう?

我が家はほぼスケルトンの状態からリノベーションを行います。注文住宅も同様だと思いますが、リノベーションにおいても、まず考えたいのが「自分たちがどんな家でどんな風に暮らしたいか」を可視化することです。

 

ところで、リノベーションって聞くと、なんだかオシャレなイメージがありませんか?Googleで「リノベーション 事例」を検索すると素敵なお部屋がたくさん見られます。インテリアや家が好きな人なら目の保養になりますし、妄想が止まらなくなります(私もそうです)。だからこそ「おしゃれであることと、自分自身(や家族)が住みやすいかどうかは別」ということを念頭に置いておかなければならないなと思うわけです。

 

住みやすさを考えた延長におしゃれさや斬新さがあればいいのですが、この順序が逆になってしまったら元も子もありません。快適に暮らしている姿やありたい姿をみんなでイメージし共有しておくことが大事なのですね。

 

ちなみに、今回、我が家のリノベーションを総指揮してくれるのは、私の小学校からの友人で世界を股にかけて活躍する建築家のカトノモト氏。彼は、世界的建築家のデイビット・アジャイ氏のロンドンの事務所で経験を積み、今は東京と北海道を中心に活動しています。私にとって、幼馴染に自宅をつくってもらえるのはこの上なく嬉しいことですし、私たち家族をよく知っているが故の安心感があります。

 

「2人にとって幸せとは、なに?」

モトはキックオフミーティングの場で開口一番、私たちにこう尋ねました。近しい間柄だからこそこの作業は大事なのだとか。“雰囲気” で作ることはいくらでも出来てしまうからこそ、自分たちのことばで表現することが大事なのだとか。なるほど、モノ作りの世界は奥が深いですね。夫、私、そして歳の息子も加わって「私たちにとっての幸せな空間」を言語化してみました。

 

キッチンを中心に家族が集う家

初回のミーティングでさまざま話をするうちに、「食」と「家族の気配」というキーワードが浮き彫りになりました。そして初回ミーティングから約1週間後、間取りの素案が出てきました。「キッチンを中心にした住空間」の提案は、私たち家族にとってまさに理想的な間取りでした。

 
模型に息子も興味津々!

 

モトによると、一般的な新築分譲マンションでは、その家全体の平米数に対してキッチンやお風呂にさける平米数(占有率)が決まるようです。たとえば、70平米の3LDKの部屋であれば「1418サイズのバスタブ」「3.2畳のキッチン」というように。

 

今回はほぼスケルトンの状態から新しく設計し直しているので、そうした割合や比率は関係ありません。家の中心には大きめのキッチンがどんと構え、家族は必ずキッチンを通ってリビングや部屋に抜ける導線になっていました。

 

必ずしも凝った間取りやデザインが「素敵な家」なのではなく、住まう人のライフスタイルや意志にしっかりと寄った作りになっていることがその定義なのだと学びました。

 

以下が決定した間取り。(図面をもとに私が描き直したものなのでちょっと分かりにくいのですが…)

 

ちなみに今回のリノベーションは、キッチンはもちろん、ダイニングテーブルや家具もすべて自由設計(造作オリジナル)になります。一般的なリフォームだとやはり既製品のシステムキッチンを導入するだけ、となるのですが、キッチンやテーブルなどを造作できるのも住み手目線でとてもワクワクします。


サンワカンパニーの東京ショールームにて

モト曰くこのキッチンが今回設計するイメージに一番近いとのこと。木×ステンレスのモノトーンが素敵です。

 

今日もお読みいただき、ありがとうございました!
次回のコラムでは「広さとは何か」について綴っていきたいと思います。

Posted by 小山 佐知子

共働き未来大学ファウンダー、ワーク・ライフバランスコンサルタント
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