2017.11.13,

「フラリーマン」は夫婦双方の権利  そのためには、家事・育児の脱ブラックボックス化を!

こんにちは! プロジェクトメンバー・ライターの今井明子です。

今年の9月、NHKの朝のニュースの「けさのクローズアップ」というコーナーで、「フラリーマン」という存在が特集されました。(番組内容はこちら

 

「フラリーマン」とは、仕事が終わってもまっすぐ帰宅せず、帰宅までにふらふらと時間をつぶしてから帰宅する男性のことです。

今まで、長時間労働で男性の帰宅が遅くなることが問題になっていましたが、働き方改革で残業時間が短くなっても、帰りに寄り道するから結局男性の帰宅が早くなるわけではないことが、この特集で明らかになりました。

 

目にしたとたん、「あ、これは炎上しそう…」と思ったのですが、案の定ネット上では大きな話題になりました。かろうじて炎上とまではいかなかったのは、アナウンサーの巧みなフォローがあったからでしょう。

そして、この特集が話題になったことから、10月にも再度「フラリーマン」についての特集が放送されました。(番組内容はこちら

 

今度は、「フラリーマンに見てほしい」とワンオペ育児で息つく暇もない日常を見せてくれた女性と、夫だけでなく夫婦ともにフラリーマンの時間をとるようにした共働き夫婦が登場しました。

フラリーマンはいつの時代も存在している

この、番組で取り上げられた「フラリーマン」ですが、別に目新しい存在ではありませんよね。昭和の時代を描いた「サザエさん」では、お父さん同士がしょっちゅう「帰りに一杯どうですか」と誘い合って寄り道して帰っています。

いいですねえ。仕事後の寄り道。私も子どもがいないときはよくやっていましたが、いい息抜きになって本当に楽しかったです。

でも!

2回目の「フラリーマン」の番組で紹介された通り、小さな子どもがいる女性には、そんな時間は相当意識しないと取れないんですよね…。

夫婦間のコミュニケーションを見直そう

そう。小さい子どもがいるうちは、子どもが起きている間はまったく自分の時間がありません。やらなければいけない労働も、子どもが散らかしたものを片づけるとか、とにかく生産性とは無縁のことの繰り返し。子どもはかわいいし、成長していくからなんとかやってられますが、近視眼的にみるとやりがいはなく、ウンザリします。とにかくほしいのは、感謝の気持ちよりも物理的な手伝いの手です(もちろん、まったく感謝されなかったら大問題ですけどね)。

 

また、共働きで子どもが保育園に通っている場合、圧倒的にお迎えは妻側が多い。保育園からは「寄り道せずにまっすぐお迎えに来てください」と釘を刺されることが多いため、妻側は働いていたとしてもフラリーマンをすることは不可能なのです。しかも、お迎えからあとは夕食・入浴・寝かしつけを短時間で怒涛のようにこなさなければいけないため、子連れで寄り道する時間もない。

 

しかし、番組では、「早く帰っても妻の家事・育児の邪魔になるから」という理由でフラリーマンをやっているという声がいくつか挙がっていました。これは男性側だけでなく、女性側からの声も目立ちます。

 

そうなんです。残念ながら、家事・育児の側面において、「妻側がやってしまったほうが効率が良い」「いまさら夫側に一から仕込んだほうが手間になる」ということが往々にしてよくあります。

 

しかし、「妻側が一手に引き受けたほうが効率的」だからといって、そのままにしていると将来的にリスクが高いのです。

だって、会社でもそうですよね。ある仕事はAさんが熟練してるからと、Aさんに任せてばかりいては、Aさんが急に休んだときや、退職したときにほかの人が困ります。新人にも仕事を教えてある程度できるようになってもらわないといけないのです。

 

それと同じことが、家庭運営にもいえるのですが、それを理解せずに「家事も育児も面倒くさいし楽しくないし給料をもらえないから」「妻のほうが早く帰るし、自分より稼いでいないから」と家事・育児から逃げ回る男性のなんと多いことか。掃除当番を女子に押し付けて逃げる男子とメンタリティは変わっていませんね。しかし、妻側がそれにいちいち腹を立てていても、夫側には糠に釘だったり、むしろ逆切れされたりすることも多い。そんなことが続けば、妻側は「いちいちお願いするほうが面倒だし…」とあきらめるしかありません。そうやってすべて自分で抱え込んでしまう妻は多いのではないでしょうか。

 

しかし、どんなに面倒でも、やはり妻側は夫側に家事・育児を任せられるようにならなければいけないと思うのです。妻側がなんでもかんでもやってしまうと、たとえば子どもが「お母さんとでないと寝ない」「お母さんがいない間はずっと機嫌が悪い」ということになり、結局妻側が夜や休日に外出する予定を入れにくくなって、自由な時間が減ってしまいます。そんなことが続けばどうしても不公平感が募り、夫婦の仲が険悪に…。下手をすれば、妻が精神的に病むことだってありえます。

 

そういうことが長年続くと、番組のフラリーマンのコメントにもあった、「家が子ども中心に回っているので、自分は居心地が悪い」という状況になってしまうのではないでしょうか。

こうなってしまうと、もはや夫は家庭に居場所がないわけですが、だからといって職場に居場所ができるわけでもありません。もし、会社で毎晩のように部下を飲みに誘えば、ウザいオッサン認定されること必至ですからね。

 

何度も言いますが、フラリーマンをするのは、決していけないことではなく、息抜きのためには必要です。ただ、小さな子育て世帯に限っていえば、放っておくと男性側のほうが自動的にフラリーマンができてしまえる状況にある。だから、夫は自分のフラリーマン時間は、妻がその分働いて捻出してくれているのだと意識して、ときには自分が家事・育児を代わって、「妻にも」フラリーマンができるようにしてほしいと思います。そして妻は、どんなに面倒くさくても、夫にも家事・育児を任せられるようにしなければいけません。しかし、一度役割が固定化されると、それを動かすのは至難の業。そういう意味でも、配偶者選びや新婚早々、もしくは妊娠中からそれを意識してやっておくことが大切になってくるのではないでしょうか。

Posted by 今井 明子

酒メーカー商品企画部、印刷会社営業職を経て、2004年より編集者&ライターに。2012年に独立。気象予報士の資格を生かし、母親向けお天気教室の講師や地域向け防災講師も務める。 家族は夫と2014年生まれの長女と2018年生まれの長男。
詳細プロフィールはこちら

関連記事