2018.12.27,

年末年始の宴のおともに 日本酒あれこれ四方山話

こんにちは! 共働き未来大学・プロボノの山田です。今年も早いものでもう師走。平成最後の年末年始が訪れようとしています。年末年始といえば、忘年会にお正月、新年会に気の置けない友人たちとの飲み会などなど、ビジネスパーソンのみならず何かとお酒を飲む機会が多くなりますね。実は一年の中で最も日本酒が飲まれるのは、この季節なのだとか。というわけで、今日は「日本酒」あれこれ四方山話と参りましょう。皆さまのお口に合えばこれ幸い。よろしければお付き合いくださいませ。

 

日本酒の原型は奈良時代に

神様仏様、歴史に文化、移ろう四季――。実は様々なものと深い結びつきがある日本酒。その歴史は古く、7世紀の奈良時代にまで遡ります。

「大神の御粮、枯れてかび生えき。即ち酒を醸さしめて

庭酒(にわき)に献(たてまつ)りて宴しき」

奈良時代『播磨国風土記』

神様にお供えしたご飯が濡れてカビが生えてきたので、それでお酒を作り神様に献上して酒宴を行ったとの意味ですが、“ 米飯(めし)に「カビ」が生えたもの ” とは今でいう米麹のこと。米・米麹・水から造られる日本酒は、なんと1300年以上も前からそのルーツを持っているのですね(※)。

ちなみに、平安時代初期の『令集解』と『延喜式』には酒の作り方、酒類が事細かに記されています。朝廷は神事や宴のお酒や酢を造る造酒司(さけのつかさ)という役所を設置、ここに酒造りの基礎が確立されたのです。

 

お酒ご法度のお坊さんが酒造り?

また、この時代から発展していったものに「僧坊酒」があります。平安から江戸時代にかけて大寺院で醸造された日本酒のことで、僧侶の間では「般若湯」と呼ばれていました。般若とは、悟りを開くための “ 智慧 ” のこと。“ 智慧 ”を生む湯(スープ)として飲む、としてお酒を口にしていたのです。

特に有名だったのは、高野山の「天野酒」、奈良の「菩提泉」、越前の「豊原酒」、近江の「百済寺酒」など。
いずれにしても、これらのお酒は今の日本酒のようにさらっとした透明のお酒(いわゆる清酒)ではなく、白濁したどぶろくのようなものだったといわれています。
これが時代とともに進化し、江戸時代に現在と同じような見た目のお酒が完成したとされています。

 

江戸時代中期に広がった庶民の酒

風景や四季を楽しみながら飲食する文化が庶民に定着したのは江戸中期。特に酒を飲みながら自然を愛でる「花見」「月見」「雪見」、いわゆる “ 三見 ” は江戸っ子から絶大な人気を誇っていたようです。

豊原国周 「源氏雪見の図」 (1867)

文人、特に『季語』を用い句を詠む俳人たちはまさに季節を楽しんでいたといえるでしょう。俳句と画で名をはせた、江戸中期の俳人・与謝蕪村も

炉開きや雪中庵の霰酒(あられざけ)

と雪の一句。冬になり初めてつけた囲炉裏のそばで暖をとりながら霰酒を飲む。舞い落ちる雪を霰に見立てたのか、それとも霰を雪に見立てたのか……。当時の生活感、温度感を伴って伝わる、蕪村らしい一句です。

 

 

今でこそおなじみの年末行事となった忘年会ですが、この風習が庶民に広がったのも江戸中期。鎌倉時代に行われていた『年忘れ』が起源だといわれています。当時は上流階級が年末を過ごす会として、連歌を詠み合うなど今とはだいぶ違う趣のものでした。この年忘れを江戸庶民は「親しい者同士、年末に酒を酌み交わしながら1年間の憂さを晴らす」と解釈し、新たな『忘年会』風習を生み出しました。その年に起きた憂きごとを宵の年に解消するとは、粋な江戸っ子らしいですね。

 

忘年会を「コミュニケーションの貴重な機会」と捉える若手ビジネスパーソン

憂さ晴らしとしての忘年会がいつの間にか「上司と飲むと気疲れしてしまう」「会社の人より友人と飲みたい」と敬遠されがちなものになってしまった現代。会社主導による “ 忘年会 ” の若者離れが叫ばれる中、今年12月にサイボウズ株式会社が行った調査で興味深いデータが公表されました。
35歳以下のビジネスパーソン400名(男女各200名)を対象に『忘年会』の調査を行ったところ、「忘年会が普段の仕事を円滑に進めるための良い機会」ととらえる若手が半数以上(55.6%)いることが明らかになったのです。

忘年会が普段の仕事を円滑に進めるための良い機会になっているかどうか

サイボウズ株式会社 35歳以下のビジネスパーソン400人に聞く「忘年会」に関する調査 (2018)

 

貴重な機会とはとらえていない若手の中でも、「自身がチームをまとめる立場となったときに(現在そういう立場の人も含めて)忘年会を実施するかどうか」という問いに対し、65%の人が「実施する」と回答。「忘年会を良い機会だと思わない」という人でも、約4割が「実施する」意向を示しています。

 

「忘年会を良い機会だと思わない」×「チームリーダーになったら忘年会は実施するかどうか」

サイボウズ株式会社 35歳以下のビジネスパーソン400人に聞く「忘年会」に関する調査 (2018)

 

忘年会を上司のご機嫌取りやプライベートを圧迫するという場にとらえるのではなく、「人間関係を深めたい」「普段とは違う空気で話をしてみたい」などアクティブコミュニケーションを求めていることが読み取れます。職場において世代を越えたチームを組むにあたり、各世代の傾向を掴むことはチーム内のコミュニケーションを円滑にする上でも忘年会というものは必要なのでしょうね。

 

 

さて日本酒四方山話、いかがでしたでしょうか。古来より、日本酒は暮らしに欠かせないものとしてそこにありました。祭りや正月、結婚式などの節目節目には必ずといっていいほど酒を酌み交わす光景が。神事から始まり、庶民のもとへ。一つの盃(場)を共有することで人々の心を結びつけてきたのかもしれません。
年末年始、飲む場に出かける皆々様。お酒はくれぐれもほどほどに、楽しい時間をお過ごしください。
それでは皆さま、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

 

※水稲農耕が渡来し定着した縄文時代、または弥生時代から日本酒を造っていたという説もある。

 

【TOP画像】

『隅田川初日の出』 一勇斎国芳

国立国会図書館デジタルコレクションより

【参考】
『日本酒の歴史』柚木学 雄山閣 1975
『知っておきたい「酒」の世界史 宮崎正勝 角川ソフィア文庫 2007
『江戸の居酒屋』 伊藤善資 洋泉社 2017
『実見 江戸の暮らし』 石川英輔 講談社文庫 2013
興福寺 興福寺をもっと知る
地酒蔵元会 地酒用語集
サイボウズ株式会社 35歳以下のビジネスパーソン400人に聞く「忘年会」に関する調査 (2018)

 

Posted by Yamada Ikuko

編集&ライター業のママフリーランス。会社員の夫とともに「わが家らしい共働きスタイルってなんだろう?」と日々模索中。

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