2018.12.28,

2018年、2人で “ライフ・シフト”に挑んだ30代カップルたちの挑戦と葛藤

●凝り固まった価値観と人間関係に区切りをつけ
学び直しを始めたHさん夫婦

Hさん夫婦は、職場婚ならではの葛藤を聞かせてくれました。夫トシカズさん(仮名・42歳)と妻アイさん(仮名・36歳)は同じメーカー企業に勤め、4歳の子どもとともに大阪で暮らしています。

「仕事は正直やりがいがなく、ライスワークとして割り切っている」というアイさん。会社は大手で、待遇面や制度面には満足していてるものの、自分の問題として「このままじゃまずい」という危機感がここ半年強まっていると話してくれました。きっかけは復帰後に携わった仕事。いわゆるマミートラックで、雑務的な仕事を中心に任されたことで「職場における自分の価値を知った」とのこと。

アイさんは入社以来、総合職とはいえバックオフィスのキャリアを歩んできたこともあり、数値化できる成功体験などもなかったことから、復帰当初は「こんなものかな」という感じだったようです。しかし、時短勤務も2年目を迎え、大した仕事をしていない自分に嫌気がさし、 “ぶら下がり社員感” に耐えられなくなったというのです。

「これといった経歴もないし、更会社を辞めたところで他に雇ってくれる会社なんてないですよね…。」と疑心暗鬼のアイさん。なぜこんなにも焦りを募らせているのか、取材を進めると、Hさん夫妻の人間関係が見てきました。

 

社内結婚の2人は、仲のいい友人も社内の人がほとんど。長時間労働体質の会社で「同じ釜の飯を食う」感覚も手伝ってか休日も同僚家族とBBQをするなどパイプは太い。が、ふと我に返ってみると、共に社外での人脈はほとんどなく、気づけば会社の価値観が自分たちの価値観になっていたというのです。

 

そんな状況に焦りを覚えたアイさんがトシカズさんに相談したところ、研修材料として読んでいた『ライフ・シフト』を手渡されました。さらにトシカズさんから「会社を辞める/辞めないと二者択一で考えないで、今のまま仕事を続けながら学んだり、外の人脈を作ったり、そういう活動に時間とお金を使ってみてもいいのでは?」とアドバイスをもらい、言葉に目からウロコが落ちたのだとか。改めて自分の視野と行動範囲の狭さを痛感したというアイさん。1年後に転職をすることを目標に、現在はやりたいことを探すため社外の勉強会やイベントなどに出かけているようです。

 

私の中に「母親になったのだから、稼いだお金は家庭や子どものために使うべき」という固定観念があったみたいです。子どもたちを夫に預けてまで平日の夜に会社の飲み会ではない場所に行くなんてこれまでの私では考えられませんでした。こうやって自分で稼いだお金を「投資」に回すことも大事なんですね!新しい世界が見えてくると、不思議と自分が大切にしている軸や価値観もクリアになってきました!

 

その後、アイさんは以前取得したインテリア関係の資格を再勉強しながらインテリア業界での新たな道を模索しています。学び直しを経て自分の可能性をどんどん広げていきたいと笑顔で語ってくれました。

忙しい中、取材に協力してくださった3組の夫婦に改めてお礼を言わせていただきます。
ありがとうございました!

 

キャリアの棚卸しとともに家計を見える化してみよう

紹介してきたように、これからの人生をどのように過ごすのか、一人ひとりが自ら進んで考える機運が高まっています。女性はもちろん、男性もまた、育休を取得する人が増えればなお、今後はライフイベントによって変わる働き方と家計を把握することが欠かせません。

これから迎える年末年始休暇。来る2019年をどんな風に過ごしたいか、またこの先の人生についてもぜひ家族で話し合ってみてはいかがでしょうか?

 

●お金の話題をきっかけに、家族の未来を考えてみませんか?

株式会社リクルートが提供するインターネット上の家計シミュレーションサービスをご紹介します。

『iction!みらい家計シミュレーション』は、現在の収入や支出、家族の状況、今後の希望などを入力することで、将来の家計を予測するツールです。

家族の未来を見通すことで、マイホームの購入時期や毎月の貯蓄目標など、準備や行動をするため参考になります。単独はもちろん、ぜひ夫婦で取り組んでみてはいかがでしょうか?

※シミュレーションは年金・退職金を考慮しないため、65才までの結果表示となります

※シミュレーションやiction!に関する質問等は株式会社リクルート iction!事務局までお問い合わせください

iction!プロジェクトとは、20157月に始動したリクルートの横断プロジェクト。「はたらく育児」を誰もがポジティブに選択できる社会の実現に向けて「キャリア」「お金」「マネジメント」「ワークスタイル」「ジョブクリエイション」という5つのテーマを掲げています。

 

【参考文献】
「ライフ・シフト 100年時代の人生戦略」

【リンダ・グラットン】副業はあなたが“変身”する絶好の機会だ

仕事2.0 人生100年時代の変身力

Posted by 小山 佐知子

共働き未来大学ファウンダー、ワーク・ライフバランスコンサルタント
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