2019.06.18,

“複業” を単なるブームにしない! 不透明な時代だからこそ人も企業もサスティナブルな成長戦略を

 

働く個人の危機感 ”フクギョウ” の動機 第1位は「経済的理由」

総務省「就業構造基本調査」(平成29年)によると、副・複業をしている人は約268万人で全就業者の4.0%(前回調査では3.6%)。思っていいたより少ない印象です。

では、世代別ではどうでしょうか? 同調査によると、副・複業のコアは中高年層が占めていることが分かります(図1)。

共働き未来大学は、30代40代のワーキングパーソンを中心としたコミュニティですが、この世代のみなさんとお話していると複業も一つの働き方、チャレンジの機会として浸透つつあると感じていたので、「中高年が半分以上」というこの結果は少し意外な気もしました。が、それだけ日本人の給料が上がらなくなってきたということなのでしょう。

 

 

図1.副・複業者の年齢層 

総務省「就業構造基本調査」(平成29年)より筆者作成

 

では、続いて副・複業の動機を見てみましょう。リクルートワークス研究所が行った「全国就業実態パネル調査2018」によると、実際に副・複業をしたことがある “ 副・複業経験者 ”(以下、経験者)と、現在は副・複業をしていないが今後したいと考えている “ 副・複業希望者 ”(同、希望者)の理由はいずれも1位に「生計を維持するため」、2位に「生活を維持する最低限の費用以外に貯蓄や自由に使えるお金を確保するため」がランクインしました。

図2.副・複業をした(したい)理由

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査2018」より筆者作成

 

先ほど「副業をしているAさん」と「複業をしているBさん」の事例をご紹介しましたが、このデータを見る限り、実際のところは、Aさんのように本業で不足した収入を補う「副業派」が多数のようですね。

 

ちなみに、本業にプラスの影響を与えていく「複業派」は、同調査で3位となったものの、「副業派」の3分の1程度と少数です。

 

ここまで、働く個人の副業・複業の実態についてみてきました。

経済的な理由にせよ、キャリアアップ志向にせよ、根底には終身雇用崩壊後の仕事や働き方への不安、危機感が透けて見えるような気がします。簡単に収入が増えない時代だからこそ、ダブルワークで短期的に目先の収入確保につなげたいのが副業、スキルや経験を磨くことで中長期的にキャリアアップを計り収入を上げていくのが複業、そんな風にも読み取ることができそうです。

 

Posted by Yamada Ikuko

編集&ライター業のママフリーランス。会社員の夫とともに「わが家らしい共働きスタイルってなんだろう?」と日々模索中。
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