2019.06.18,

“複業” を単なるブームにしない! 不透明な時代だからこそ人も企業もサスティナブルな成長戦略を

企業の危機感と不安… “フクギョウ” に理解も、慎重な姿勢を崩さないワケ

では企業側の実態はどうでしょうか。

5月20日付日経新聞の「副業解禁、主要企業の5割 社員成長や新事業に期待 」という記事がSNSでも話題になりました。果たしてこの記事のように企業は社員の複業に前向きなのでしょうか? 私自身はこれには少し疑問を感じていたので、他の調査データも調べてみました。

労働政策研究・研修機構が行った「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」(2018年)によると、副業を許可する予定はないとする企業の割合が75.8%という驚きの結果が明らかになりました。

一方、副業・兼業を許可している企業の割合は11.2%、また許可を検討している企業の割合は8.4%であり、複業・兼業に前向きな企業は全体の2割しかない、というやや残念な結果に(図3)。

図3.企業の複業・兼業に対する意向 

労働政策研究・研修機構「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」(2018年)より筆者作成

 

「副業・兼業を許可しない理由」(複数回答)としては、「過重労働で本業に支障をきたす」(82.7%)がダントツに多く、以下、「労働時間の管理・把握が困難になる(45.3%)、「職場の他の従業員の業務負担が増大する懸念があるため」(35.2%)と続きます(図4-1)。

 

図4-1.企業の複業・兼業を許可しない理由

 

一方、「複業・兼業を許可する理由」はどうでしょうか。「従業員の収入増加につながるため」(53.6%)が最も多く、従業員が活躍できる場の広がり、従業員のモチベーションの維持・向上、従業員の視野拡大や能力開発につながる点が続いています(図4-2)。

 

図4-2.企業の複業・兼業を許可する理由

図4-1,2ともに労働政策研究・研修機構「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」(2018年)より筆者再作成

働き方改革を進める企業にとっても、やはり副・複業は未知の領域。特に労務管理の難しさを感じるのは当然です。このあたりを含めいかにスピーディに行動に移せるかが企業サイドの解禁のカギと言えそうです。

 

いずれにしても準備にはそれなりのパワーがかかるため、解禁の波は引き続き大手企業からじわじわと広がっていくことが想定されます。大手企業にとっては成長戦略として肯定的にチャレンジしてみようというスタンスでも、慢性的な人手不足に悩む中小企業にとっては、たとえ働き方改革を行ったとしても「副・複業まで手が回らない」というのが本音ではないでしょうか。実際に日経新聞のデータは東証1部上場などの大手企業が調査の対象とのこと。

 

“本当のところ” という意味では、労働政策研究・研修機構のデータのほうがリアリティがありそうです。

 

Posted by Yamada Ikuko

編集&ライター業のママフリーランス。会社員の夫とともに「わが家らしい共働きスタイルってなんだろう?」と日々模索中。
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