こんにちは、プロジェクトサポーター・ライター、どっちもワーカーの村上杏菜です。
前回のコラム『パパにこそ知ってほしい「産後うつ」 ポイントは産後半年のケア』では、各種の調査やデータをもとに、産後の母親の自殺の原因の一つと考えられる「産後うつ」の現状と、さらにはその背景にある産後の苦悩について分析をしてみました。
見えてきたのは、最も心身に負担がかかる「産後半年」の辛さと大変さでした。特に、「自分自身」「母」「妻」という3つの立場で同時に不安や悩みを抱えがちなのがこの時期の大きな特徴です。
人生において、肉体的・物理的・精神的に悩みと不安とを抱えてしまうタイミングはそうそうあるものではありません。そのような状況で精神的に追い詰められ、産後うつを発症したり、自殺を選んでしまったりする心理はちっとも不自然ではない、というのが各種の調査結果から私が感じたことでした。
とはいえ、決して最悪のシナリオを肯定するわけではありませんし、どうにか追い詰められずに産後を過ごしたい……。
今回のコラムでは、前回のデータに基づく考察に加え、私自身の経験をもとに自分でできる防御策と産後の過ごし方について考えてみたいと思います。
産後を乗り切る5つのポイント
前回紹介したさまざまな調査データに加え、私自身の経験をふまえてお伝えしたいことは以下の5点です。
- 産後うつは誰でも陥る可能性がある、と認識する
- 周囲、特に夫(パートナー)のフォローが大事
- 使えるものは何でも使おう
- 周りからの評価による“完璧”を目指さない
- 自分の時間を確保して好きなことをしよう
1、産後うつは誰でも陥る可能性がある、と認識する
産後うつに限らず、メンタル面でダメージを負うことは人間ならば誰にでもあります。「うつは心の風邪」などと言われていますが、体が病気になることがあるのならば心だって病気になることがあるのは当然です。私も第一子の産後に似たようなメンタル疾患を抱えた時期がありました。
2017年から厚生労働省による産後うつ健診費の助成も行われているので、ぜひ活用してみましょう。
2、夫(パートナー)のフォローが大切
「産後はホルモンバランスが乱れるためメンタルが不安定になりやすい」との事実は男性にも認知されるようになってきています。しかし、そのうえでどのような声かけ、対応をすれば良いのかまで理解している男性はまだまだ少ないようにも思います。
女性が求めているのはホルモンバランスへの理解でなく、自分の不安定な気持ちや状態を理解してもらったり受け止めてもらうこと。仕事の調整ができるようでしたらぜひパートナー自らが育児休暇の取得を検討してみてください。また、産後についての情報を産前からパートナーと共有することも重要です。
3、使えるものは何でも使おう
夫婦双方の実家、行政のサポート(ファミリーサポート、保健所、子育て相談窓口、児童館や支援センター、一時保育等)、民間のサポート(産後ケア、カウンセリング、一時保育、ベビーシッター等)、友人、ママ友など、とにかく使えるものは何でも利用し、母親が一人で抱え込まない体制をつくることが大事です。
近くに頼れる人が少ない人や外に出るのがあまり好きでない人、あえて自宅でゆったり過ごしたい人は、SNSや育児サイトなどを上手に活用するのもいいでしょう。子育てに関する悩みを投稿したり、あるいは他のユーザーの悩みを眺めたりするだけでも良い気分転換になりますよ。
4、周囲と比べたり、完璧を目指そうとしない
スマートフォンやテレビをいつから見せるかや、母乳かミルクか、離乳食の開始時期や内容、オムツについてなど、赤ちゃんが生まれたその日から、子どもの成長とともに親の悩みや迷いは尽きません。不安がゆえ育児書や他人の子育てを参考にしますが、それが逆に新たな不安の種になることもしばしばです。
私は、自分が納得できるバランスで対応すればそれで良いと思っています。他人と比べ出すとキリがないからです。私は実母から「雑母」(「ザツボ」と読みます)と呼ばれるほど雑な子育てをしているようですが、私にとってはこれが “ちょうどいいバランス” 。他人のものさしではなく、育てる自分のものさしで“ちょうどいいな” と感じるところを見つけてみましょう!
5、自分の時間を確保して好きなことをしよう
「好きなことをする」と言っても、子どもをほったらかしにして好き放題をしよう、という話ではもちろんありません。ただ、親も人間ですから24時間常に自分以外の誰かに集中していればストレスが溜まるのは当然です。これも周囲の力を借りながら実践して欲しいのですが、ぜひほんの30分でもいいので「自分だけの時間」を確保してみましょう。
時には強制的に赤ちゃんと離れる時間をつくることで緊張の糸がすっと解けます。最初は「何をしていいかわからない」と思うかもしれませんが、目をつむってぼーっとするだけでもいいのです。何度か繰り返しているうちに、きっと本来の自分のリズムを思い出せるようになります。
焦らず、ゆっくりと
繰り返しますが、産後の心身にとって最も大切なのは、少しずつ、“いつもの自分” を取り戻すことだと思います。まずはいつもの自分に戻ったところから、自分らしい子育てを模索していけばいいいのです。焦る必要はありません。
夫(パートナー)との関係も、家族が増えればコミュニケーションの量や質が変わって当然。育児と通してパートナーシップを磨くも良し、息抜きに二人だけで出かけるも良し。とにかく母親自身が自分らしいバランスで子ども、夫(パートナー)と向き合うことが大切です。
産後の母体が心身共にかなり過酷な状況に置かれることは明白な事実です。まずは産後うつのリスクを本人はもちろん周囲もしっかり理解し、そのうえで産後の過ごし方や辛い時期の乗り切り方をポジティブに考えていけるといいですね!
本記事をそのヒントにしてもらえると嬉しいです。