みなさま、はじめまして!
2019年11月より「共働き未来大学」にプロボノとして参加している田所 祐輝です。
夫婦フルタイム世帯で働きながら1人娘を育てているWorking Fatherで、「世の中の家族が前例に縛られずそれぞれのライフスタイルに合わせた暮らし方を選択できる社会になれば」という想いで、このプロジェクトに参画しています。
1年間の育児休業を取得した理由
我が家は、恐らく日本では比較的稀であろう「夫婦で共に1年間の育児休業」を取得した世帯です。
<育児休業制度利用の有無についての私の考え方>
- それぞれの世帯の所得やキャリア観
- 所属組織における役割の広さや責任の重さなどの事情
- 当該者が得られる周囲からのサポートの充実度といった環境要因
各家庭それぞれに複雑な変数があるので、育休を取るべき、という「べき論」で語るものではなく、それぞれの事情に応じた多様な判断を許容する姿勢が重要だと思っています。
娘を授かったと分かった時から、私には「育児を妻に任せきりにしたくない」という想いがありました。
また、所得補償の割合とその期間の長さにおいて、世界各国との比較で稀に見る充実度合い[i]を誇りつつも、取得者は5%も居ないこの日本で、長期の育休を取得することが「他の方々が見ることができなかった景色を見られることに繋がるのではないか?」という期待もありました。
そこで、当時の勤務先との対話を経て臨時業務には対応する形で1年間の育児休業を取得しました。
夫婦で1年間育休取得した、とお伝えすると、「収入は大丈夫だったのか?」「1年間は長すぎないか?」「夫婦で育休を取ってみて良かったことは?」などよく聞かれました。
そこで、このブログでは、主に「1年の育児休業が夫である私にとってどんな意味があったか?」について触れてみたいと思います。
夫婦で伴にとった1年強の育児休業によって得たもの
細かく挙げれば多々ありますが……大別すると以下の3点になります。
1、育児における依存度を夫婦間である程度平準化できたこと
2、家族の想い出がたくさん作れたこと
3、将来の後悔の芽を摘めたこと
- 育児における依存度を平準化できた
私は授乳をできなかったり、妻は車の運転が得意でなかったり、全てのタスクにおいてお互いを代替できる訳では勿論ありません。けれども、基本的な育児におけるルーティン(食事・排泄・沐浴/入浴・寝かしつけ)は、父親であろうが母親であろうが構わない状態になりました。娘からすると、日常的に両親が家に居ますので、その内のどちらか1人が居れば不安は感じなかったのではないかと思います。(体調が優れない時には、父親ではなく母親を求めるなど、例外ケースはありましたが…。)
- 家族の想い出がたくさん作れた
2人で子育てをしているので、たとえば私が車を運転する際、妻が授乳を兼ねて後部座席で娘をケアできるので、遠出も苦になりませんでした。また、平日を有効活用できるので、混雑するシーズンを避け天気の良い日を狙ってお出かけできました。2人でいれば、どちらかが子どもを抱いて、もう1人が写真を撮れば子供の良い表情を狙った写真も沢山残せます。(我が家の場合、数えてみると1年間の間に10,000枚以上の写真を撮っていました。)また、乳児を育てていると、「子供が何かを新しく出来るようになる瞬間」と出くわすことがありますが、夫婦で一緒に居ると、その感動を「今、見てた?凄いね!」と言葉で共有することが可能になります。このような経験の積み重ねを経て、私の中に父親としての自覚も芽生えていったように感じています。
- 将来の後悔の芽を摘めた
私が育児休業を取得していたタイミングと同じ時期に、小林麻央さんが乳癌と闘病されている様子が各種メディアにて報道されていたのですが、その光景を見ながら「将来、自分は十分家族と向き合う時間を取って来れただろうか?」と自問自答することがあった時に、自信を持ってYesとは言えないかもしれないけれど、育児休業を取る判断をしたことは、きっと自分の心の支えの1つになり、後悔の念を和らげてくれるだろうという感覚を抱きました。
終わりに
2020年に入って日本はオリンピックイヤー到来という盛り上がりを見せていますが、同時にテレビや新聞では小泉環境大臣のニュース、SNSではForbes Japanの#もっと一緒にいたかったというキャンペーン[ii] が注目を浴び、男性の育児に関わる報道も目立っているように感じています。
この2020から始まる新たな10年間で、「お互いの自己実現とキャリアを支えながら、家事や育児を上手にマネジメントしようとする世帯」がどんどん増えて、ライフスタイルも大きく変わっていくと私は推察しています。そんな変化の中で、この共働き未来大学は、読者が多様な生き方を知るためのプラットフォームになろうとしていますので、ぜひ今後のコンテンツもお楽しみに頂けたら幸いです!
[i] 2019年6月に発表された国連のレポートにおいて、日本の父親に対する育児休業制度が、取得可能期間×補償割合の観点でOECD諸国の中で最も充実していることが報告されています。
https://www.unicef-irc.org/publications/pdf/Family-Friendly-Policies-Research_UNICEF_%202019.pdf
[ii] 特集:もっと一緒にいたかった
https://forbesjapan.com/series/paternityleave100