2017.08.31,

Case.1 人生を “チーム戦” で楽しむペンギン夫婦|髙橋 健太郎×髙橋かな

共働きパーソンのインタビュー記事が始まりました! 第1回は、夫婦でフリーランスとして働く髙橋ご夫妻を紹介します!

プロフィール

【夫】髙橋 健太郎 (37) 人事コンサルタント(フリーランス)
【妻】髙橋 かな (28) フェイスエクササイズインストラクター/採用コンサルタント(フリーランス)

  • 居住都道府県:埼玉県
  • 結婚年数:4年
  • 出会ったきっかけ:仕事関係
  • 共通の趣味や一緒にやること: 夫婦MTG、海外旅行、野球観戦、ウォーキング、インラインスケート、ストレッチ、カフェデートなど

フリーランス歴10年、パフォーマンスが格段にUPした夫
専業主婦から会社員を経てフリーランスになった妻

かな: 私はずっと「結婚したら専業主婦になるんだろうな」とイメージしていて、実際、結婚を機に勤めていた大学を退職し、専業主婦になりました。

夫はフリーランスとして就職支援に携わり、幅広い世代の方に充実した人生や新たな居場所を見つけるお手伝いをしています。夫は私に仕事の話や相談をよくしてくれたので、知らなかった世界を知ることができたと同時に、自然と私にも “就職支援のイロハ” や “相手の心に刺さる話し方” などが身に付いたというか……。

もがきながらもイキイキと仕事する夫の姿を間近で見るうちに、大学で学生支援をしていた頃の自分が懐かしくなり、自然と「私も戻りたいな……」と思うようになったんです。1年のブランクを経て人材業界に転職し、その後フリーランスになりました。

今では何百人もの人の前で講演をしたり、さまざまな企業の面接官などをしてるのですが、正直、私にもこんなことができるなんて結婚当初は思ってもいませんでした。本当に夫の存在は大きいです。

健太郎:   私は、妻と知り合う前からフリーランスとして働いていて、気づけばフリーランス歴は10年。結婚して妻から仕事のアドバイスをもらうようになり、仕事人しても一皮むけたというか。自分一人だと「考えが偏ってないか」「独りよがりになっていないか」「相手に分かりにくい伝え方をしていないか」といった視点が欠けることもあるので。夫婦だからこそ本音でダメ出ししてくれる。

たまに「そこまで言う!?」っていうこともありますが(笑)、アドバイスがきっかけで新たな視点を得たり、良い方向に進むことも多いので、素直にありがたいなと思っています。

あとは “健康体” になれたことも、結婚して変わったところですね。独身時代は生活が不規則でしたが、結婚後は食事から睡眠まで、生活リズムが整いました。というのも、妻は寝る時間や起きる時間が全くブレないんです。おかげで、私も体調を崩すことが少なくなりました。働く上で、ベストパフォーマンスを発揮するには、体調管理はマストですから、妻には感謝しています。

働く夫の姿と “一言” に背中を押され、いざフリーランスの道へ

健太郎:結婚当初、私は妻に対して「専業主婦でも、仕事をしてもどっちでも良いよ」というスタンスでした。

かな:私は1年間専業主婦をしてみましたが、社会から離れたことにモヤモヤしちゃって。周りの友人は働いている子がほとんどで、何だか私だけ取り残されてしまっているような気もして、夫に相談したんです。「あまりブランクがあかないうちに仕事復帰したい!」と。

健太郎:もともと教員志望だった妻は、他人の成長に喜びややりがいを感じるタイプ。さらに、20年以上やっているピアノで培った追求心や向上心、妥協しない姿勢は、凄まじい。とにかく自分を高めるための “PDCA” が身についているんですよね!

かな:前職の経験と夫のアドバイスから、復帰後は人材業界(学生の就職支援)で働くことにしました。合同企業説明会のイベント企画や学生の相談(カウンセリング)業務、小規模な講演などを経験できる職場でした。カウンセリングや講演は、話しやすい雰囲気作りや相手に寄り添う気持ちがとても大切。身近に学生の成長を感じたり、「無事に就職ができました」という報告が何よりも嬉しくて。

やりがいを感じる仕事でしたが、一方で拘束時間が長く、家庭とのバランスが上手く取れないという課題にぶつかりました。

健太郎:仕事にやりがいを見い出し、充実し始めた妻。反面、家事がおろそかになることへの苛立ちを隠せない妻。仕事と家庭のバランスに悩む姿を見て、「なんとかしてあげたい」「どうしたらもっとイキイキ働けるのだろう?」と思いました。

かな:私は、性格的に仕事も家庭もキッチリしたいタイプなんです。でも、現実はどっちも中途半端で。器用じゃない自分を知りモヤモヤもしましたが、それ以上に仕事の面白さを知ったというか。「もっとこんなことがやりたい!」とモチベーションが上がりました。

健太郎:一番身近にいるからこそ、普段から妻の大切にしている考えや想いを知っているし、良さ(強み)も分かっている。だから、妻の想いや良さを活かす働き方について私自身も真剣に考えるようになりました。その時、ハッとしたんですよね。仕事柄、多くの方のキャリアの相談に乗っているのに、「なんで今まで一番身近な人のキャリアをちゃんと考えなかったんだろう」って……。

かな:夫から「そんなに明確にやりたいことがあるなら、働き方を変えてみるのもいいんじゃない?」と言ってもらい、決心がつきました。

女性だからこそ、ライフステージに合わせた働き方や仕事内容をフレキシブルに選択する『引き出しワーク』を実現したいと思うようになったんです。その実現ためには“フリーランス”という働き方が理想的! もちろん、フリーランスの厳しさや難しさ、仕事を獲得する大変さは知っていたつもりですが、それでもやりたいことを諦めたくない気持ちと『引き出しワーク』を実現したいという思いの方が強くて。就職採用コンサルタント、フェイスエクササイズインストラクターとして、フリーランスの一歩を踏み出しました。

健太郎:思えばここが“夫婦でフリーランス”という共働きの形のスタートでした。

※引き出しワークとは、ライフステージ(結婚や子育て・介護など)に合わせ、仕事の選択を『引き出し』から柔軟にチョイスする働き方のこと。

<青空MTG> 外の空気を吸いながら2人でミーティング

感情と情報の共有はしっかりと!
MTGを欠かさない、私たちらしい共働きスタイル

かな:私たち夫婦はとにかくコミュニケーションをとり、その日の出来事や感じたことなどを共有(アウトプット)します。最近はウォーキングをしながら話すことも。フリーランスは1人で仕事を抱えることも多いので、仕事のやりがいや難しさといったお互いの仕事から出てくる話題を共有し、喜びを分かち合ったり解決策を模索したりしています。一緒に考えて、成長していくのが私たちの共働きスタイルですね。

健太郎:今日の出来事を目をキラキラさせて話す妻の姿には元気をもらったり、ほっこり温かい気持ちになれます。お互いが楽しく、仕事にやりがいを持てる環境を一緒に作っていけたらいいなと。仕事を通してイキイキしていることが、色々な面でプラスに働きますからね。

かな:私たちらしさを象徴するのが『夫婦MTG』。事前にお互いが話したい話題やテーマを持ち寄り、リラックスできる場所へ移動して話し合います。お洒落なカフェや屋外など、場所は気分次第さまざまです。

健太郎:日常の会話だけでは形になりづらいこともMTGという形で話し合うことで、具体的な行動や新たな発想が生まれます。悶々として進まなかったことが一気に加速したり。つくづく、アウトプットすることの大切を感じます。そうやって、お互いの現状を共有・把握し、目標を定め、お互いに何が協力できるのかを話すのが私たちらしさなんだと思います。

かな:MTGで生まれたアイデアが、そのままビジネスになることも。楽しみながら続けること、これってすごく大事なことなんです! 実際私たちは、MTGで共有した内容や目標を自宅に帰ってから、大きめのホワイトボードに書いて、いつでも目につく場所に置いています。そして、それを見て2人でやる気を奮い立たせています(笑)。

<リビングワーク> 机に向かっているといいアイディアが浮かばない……。そんな時はリビングで話をしながら企画書作り

お互いが自立しつつ、一緒にいる時間を大切にする
「ペンギン夫婦」という心地いい関係

健太郎:いつも一緒で仲むつまじい 夫婦のことを 『おしどり夫婦』といいますが、最近は『ペンギン夫婦』 なる夫婦の形が注目されているとか。結婚情報誌ゼクシィによると、“共働き” “密なコミュニケーション” “お互いへの尊敬の気持ちを持つ”といった特徴をもつ結婚の形・新しい夫婦の形をペンギンの生態にちなんで『ペンギン夫婦』と呼ぶようです。

かな:私があるときペンギン夫婦の特集記事をネットで見つけ、「まるで自分たちのことみたいだな〜」と感じ、夫にLINEしちゃいました(笑)。

健太郎:妻からLINEが来て、「まさに私たちこれだよね!」って2人で盛り上がったのを覚えています。

かな:とはいえ、私たちは最初からペンギン夫婦だったわけではなくて……。最初は、言いたいことがあっても遠慮して溜めてしまったりして。「このままじゃダメだな……」と思いながらも、どうしていいか分からず悩んだ時期もありました。

健太郎:妻のいつもと違う表情や態度を見て、思い切って「腹を割って話さない?」って提案したのが夫婦MTGの始まりでした。お互いに思っていることを口にする機会を意識的に設けるようにしたんです。

でも、やっぱり本音で話すって、夫婦であっても難しいんですよね。パワーや勇気が結構いる。特に心に引っかかっていることや悩みを吐き出すことは……。なので、言われた方も落ち込んじゃったり。

かな:それでも自分のために話してくれた、親身にアドバイスしてくれる気持ちは伝わりますからね。そんな話をした後は、自然とお互いに「ありがとう」と言える温かい雰囲気になるんです。

健太郎:そんな、ホンネで向き合う時間の積み重ねから、“歩み寄り”の大切さをお互いが強く感じました。

かな:こうやって夫婦MTGが始まり、「そんなことも話していんだ、話せるだ」って思えてから、今では楽しみの1つになっています。お互いの良いところや尊敬できるところが、前よりちゃんと見えてきたんだと思います。当たり前のことですが、そうやって“相手のことを知る”ことの大切さを日々感じています。

健太郎: 昔から「感謝はすべてを癒す」という言葉が語り継がれていますが、まさに、小さなことから“感謝を伝える”ことを大切にしています。よく話し合って、助け合って、補い合って、励まし合って、高め合う。そうやって、夫婦として、人間として、成長していけるのが結婚なのかなぁ。なんか“スポコン夫婦”みたいですが(笑)。

<チーム戦を楽しむ> 私たちは最強タッグ「K(ケンタロウ)&K(カナ)」コンビ。バトミントンや卓球のペア(ダブルス)みたいにこれからも高め合っていきたい

予測できない時代だからこそ、タッグを組んで歩んでいきたい

かな:これからは、ますます働き方が『多様化』してくると思うんです。共働きのあり方は、夫婦それぞれの“形”があると思いますが、お互いのキャリアを一緒に描き、共有していくことがより大切になっていくような気がします。

健太郎:近年は、大手企業を中心に『副業』や『在宅ワーク』を認める会社が増え、制度面での変革が進んでいる現状があります。ますます働き方の多様化が進み、最近では『多動力』という言葉も見かけるようになりました。今後は、「会社勤めだから」「フリーランスだから」という垣根がどんどんなくなっていくのだと思います。そういう変化が激しい時代において、“自身のキャリア設計”を構築する必要性があると思うんです。

かな:私が実現したい『引き出しワーク』は、簡単に実現できることだとは思っていません。でも、こんな時代だからこそ必要だと思うんです。そのためには、自分の出来る仕事の“引き出し”を増やすことがマスト。それには、常に自分を高めて行く必要があると考えています。

健太郎:私は今まで就職や転職の支援してきましたが、最近は就職した後、人間関係や体の不調で辞めてしまう方が増えています。就職した後もイキイキと仕事するには“心と体の健康”があってこそ。そういう背景から、今は“心と体の健康”をテーマに学びを深めています。

かな:私たちは夫婦で『フェイスエクササイズインストラクター』の資格を持っています。私は “女性が外見のみならず、心から健康で幸せな日々を送れること” をモットーに、企業研修やグループレッスン・パーソナルレッスン等を行っています。夫とは学びのアプローチの仕方は違いますが、だからこそ学んだ知識や情報を積極的に共有しています。

健太郎:この先は何が起こるかわからない、予測できない不明瞭な時代です。でも、だからこそ逆に、自分たちの未来を自由に描くことができる時代だともいえます。とはいえ、実際自分一人ではなかなか心細い……。だからこそ、一番身近にいるパートナーと一緒に考えることが大事ですね。

お互いに関心を持ち、学び合い、どういう未来を描きたいのかを一緒に共有しながら、実現に向けてタッグを組んで歩んでいくことが、これからの時代大切になってくると思うんです。

この先も、私たちにとって一番ベストな“形(未来)”を見つける旅を、夫婦で楽しみながら歩んでいきたいと思います。

髙橋 健太郎

人事コンサルタント/キャリアコンサルタント(国家資格)/CDA/行動心理士/フェイスエクササイズインストラクター/メンタルヘルス・マネジメント

大学卒業後、メーカーの法人営業マンとして勤務した後、就職情報会社の企画部に従事。27歳で独立し、人事コンサルタントとして、学校・企業・行政等で就職支援活動全般やキャリア科目、ビジネススキル研修などの講演・研修を年間約200本近くこなしている。企業の採用戦略にも携わり、実際の会社説明会から選考まで携わることで、採用現場の“今”を伝えている。また、英国予防医学機関・健康運動指導士協会公認『フェイスエクササイズインストラクター』資格を日本人男性として初めて取得。最近は、“心と体の健康”をテーマに、仕事を通してイキイキするための『行動心理学』や『脳科学』を活かしたパーソナルレッスンやワークショップも開催している。


髙橋 かな

フェイスエクササイズインストラクター/就職採用コンサルタント

音楽大学ピアノ科卒業後、母校の大学職員として教務学生課に従事。結婚を機に退職後、1年間の専業主婦を経て総合人材サービスを手掛ける企業に転職し、就職支援業務に携わる。その後25歳でフリーランスの道へ。企業の採用支援とフェイスエクササイズインストラクター2つの顔を持ち、企業・個人向けにビジネスを展開中。

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