共働きパーソンへのインタビュー、Case.7は、真田ご夫妻をご紹介します。「自然体」という言葉がとてもしっくりくるお2人。共にフルタイムの会社員で2人のお子さんのパパとママですが、その語り口からは都会の共働き夫婦に多い慌ただしさや両立のしんどさがほとんど感じられません。
「仕事はしなくていいならしたくない」という夫と、「家事は好きじゃないし子育てもどちらかと言うと苦手」という妻。自分たちを “意識低い系” と話す2人が築いてきた頑張りすぎない 「引き算の共働きライフ」とは…!?
お2人とも、お仕事の関係でお顔出しいただけませんが、オンライン(Zoom)による取材では、お人とも気さくに終始笑顔でお話いただきました! 【山田明香里】
プロフィール
【夫】真田 幸介 (36 仮名) 大手食品メーカー勤務
【妻】真田 美香 (36 仮名) 外資系企業勤務
- 居住地:東京都
- 結婚年数:6年
- 出会ったきっかけ: 共通の知り合いのラグビーチームで
- 長女(4) と長男(0) の4人家族
近所の公園での一コマ。「子どもより自分が本気で遊ぶことを心がけています(笑)!」と幸介さん。
2人で働くとリスクが減らせて心も穏やかでいられる
――お2人が共働きをする最大の理由は「リスク分散」だと伺っていますが、まずはこの辺から教えていただけますか?
真田 幸介さん(以下幸介):
すごくシンプルな話で、片働きだと何かあったときのことを考えたら怖いけど、共働きだと片方が倒れても家族揃って路頭に迷うことはないなと。安心感。それに尽きますね。
――ごもっともですね。終身雇用も崩壊してますし、人生100年時代、私たちの寿命のことを考えると2人それぞれに収入があったほうが安心ですよね。
幸介: とはいえ、あと何十年も働かなきゃって考えるのは辛い。そもそも私はできることなら仕事したくない人なので(笑)。家族がいる以上もちろん働きますけど、2人で働けるのならに単純に生きやすくなるんじゃないかな、と。
真田 美香さん(以下:美香): 私は正直、子育てが得意じゃなくて、家事も好きじゃないんです。だからそもそも専業主婦には向かないタイプだと思っていて。今はバリキャリ志向ではないですが、働くのは好きです。
幸介: 彼女と付き合ってるとき、「この人ならずっと働いてくれそうだな」 と思ってました(笑)
――笑! お二人は最初から共働きが前提だったのですね。
幸介: でも、リスク分散を意識したきっかけは、保険の見直しだったんですよね。
美香: そうそう!
幸介: 保険の見直しに行って、我が家にとっては自分が死ぬより、妻が死ぬほうがダメージが大きいって気づいたんです。自分が死んだら住宅ローンはなくなるから妻には再婚でもしてやっていってもらえればと思うんですが、妻に先立たれて自分だけが残ると、ローンを抱えてながら2人の子育ても一人でやらなくてはいけないんですよ。私は再婚できるかわからないですし(笑)
――男性がそういう危機意識を持てるっていいですね!
幸介: 少なくとも私が育児と家事ができて自立していないと妻の負担も減らないですしね。共働きはお互いにとっての選択肢も増えると思うんですよね。たとえば、会社を辞めたいとか、何か新しいこと始めたいと思ったときに躊躇せず「どうぞ!」と言える。仕事だけじゃなくて、家事や育児の点でもお互いちゃんと自立していればそういうときすごくスムーズなんじゃないかな。
美香: 中長期的に考えるって大事ですよね。これからの時代、経済的にも精神的にもサスティナブルじゃないと怖い。保険の見直しに行っていろいろ現実味が増しました(笑)
――幸介さんは「できれば働きたくない」という価値観がおありのようですが、美香さんは働く上での価値観や理想の働き方があったりしますか?
美香:これまで転職や留学をしてそれなりに社会人経験を積んできましたけど、最近はがむしゃらに働くのは何か違うなと思っています。理想は、「週3 会社員で残りが副業・プロボノ」かなぁ。あ、でも絶対に譲れない点としては雇用形態ですね。正規雇用。収入は大事なので、太い柱が一本必要だなと。
――収入の柱として正規雇用にこだわるのは安定性からですか? 働き方の柔軟性を考えればフリーランスで働くという方法もありそうですが…?
美香: 勤めている会社は、週5日在宅もできるしフレックスで柔軟。社会保障を考えても私は会社員の方がいいですね。社会保障制度の見直しがあったら考えるかもしれませんが、今はフリーランスは考えてないかなぁ。
――週5在宅勤務にフレックス…! 子どもがいたり、制約がある社員にとってありがたい環境ですね!
美香: あとは経験上、非正規雇用から正規雇用になる大変さを身にしみて感じてきたことも大きいです。私は留学をきっかけに一度派遣社員として働く道を選んだんですが、帰国してもう一度働こうとしたとき、日本社会の構造的に、一度離れた正規雇用の道に戻ることの厳しさを痛感しました。幸い、何とか正社員に戻れたけれど、私にとっては社会保障制度に守られている安心感はやっぱり大事なんだなと。
幸介: 私はお金のために仕事をしているだけなので、極端なことを言えば雇用形態は問わないです。私の仕事は内容的にフリーランスでは成り立たないのでそうしてませんが。あと、私はローン返済のめどが立ったら仕事を辞めたいので妻には正規でいてもらうほうがありがたいですね。