2020.01.17,

Case.8 会社員の妻とフリーランスの夫。互いの可能性を広げるため、時間と機会を創出し磨き合う|佐野 創太 × 佐野 ともよ

共働きパーソンへのインタビュー、Case.8は、佐野さんご夫妻をご紹介します。ライフイベントをきっかけに妻が会社員からフリーランスに転向するという事例は多く聞きますが、佐野さんご夫妻は「妻が会社員で夫がフリーランス」という働き方を選択しています。異なる働き方をすることで生まれる時間のゆとりや仕事のアイディアについてお聞きしました!【小山 佐知子】

 

プロフィール

【夫】佐野 創太 (31) フリーランス(新規事業開発・採用・WEBメディア運営等)
【妻】佐野 ともよ (30) 新卒で入社した人材系企業に勤務(8年目)

 

  • 居住地:東京都
  • 結婚年数:1年半
  • 出会ったきっかけ: 就職活動
  • 夫婦2人家族(2020年に第一子出産予定)

 

家庭と仕事どっちも大切にするために選んだフリーランスの道

 

――今日はお二人で取材に応じてくださってありがとうございます! 見るからに仲が良さそうなお二人ですが、出会いはどちらで?

 

佐野 ともよさん(以下:ともよ): 就活です。ある人材会社の説明会で偶然席が隣で。連絡先を交換したんだよね。

 

佐野 創太さん(以下、創太): よく覚えてるよね(笑)。僕らは2012年卒業で、2015年から付き合って2018年に結婚しました。

 

――ともよさんは新卒で入った会社で働いているとのことですが、創太さんは現在フリーランサーなんですね。

 

ともよ: 私は新卒で入社した会社で働いていて、今年で8年目になります。私の会社は、障害のある方向けの就労支援や教育支援事業をしていまして、私は就労支援事業を経験し、ここ2年ほどは人事を担当しています。

 

創太: 僕は新卒で人材企業のパソナに入社して、1度転職して、パソナに出戻りました。フリーランスになるまでの5年間は会社員ですね。

 

――創太さんがフリーランスになったきっかけは?

 

創太: 直接的なきっかけは、母親の病気でした。その時に「親の家族と自分の家族の2つの家族を守るためには時間とお金の裁量権が必要である」と思い、働き方と暮らし方を考えたんです。その結果、週5日で決められた場所と時間で働く正社員という働き方は、自分が置かれた状況とマッチしないことがわかり、独立の道を模索しはじめました。プライベートの理由がフリーランスを志向する大きなきっかけです。

 

――とはいえ、大手企業にお勤めだったわけですし、退職せずに両立する選択肢もあったのでは?

 

創太: 会社そのものは好きでしたし、貢献したい気持ちは今もあります。新卒の採用試験で一度落ちても再選考して入社させてくださいましたし、出戻りも許してくだいました。ただ、「病院から連絡があった時にすぐに駆け付けたい」であったり「20時くらいには妻とご飯を食べたい」という思いは、会社員としての責務を果たすこととは両立しないように感じました。それ以前は仕事ができれば家族は二の次、三の次でよかったんですけど、「仕事と家庭に優先順位の差がつけられなくなった」ので、会社員とは違う働き方を考えはじめました。

 

――柔軟さという意味ではフリーランスはぴったりの働き方ですね。

 

創太:家族の病気はいつ何が発生するか分からなくて……突然病院から呼び出しが来たりとか。実際にそういう経験をして「まずは時間の自由を手にしておかないと守るものも守れなくなるな」と痛感したんです。もちろんフリーランスだからといって100%自由ではないですが、自由の引き換えの責任の範囲は自分の努力で補えます。会社員は上司、同僚、他部署へ迷惑をかけることになるので、僕はその罪悪感からは逃れられませんでした。

 

――創太さんはいわゆる ビジネス系フリーランス* だと思うのですが、どんな仕事が多いですか?

 

創太: 最近だと、結婚情報サービス会社の新規事業開発や中途採用、HR系Webサービスの編集長、LoveTechMedia個人向けライティング講座の講師などをしています。常に5つ以上の仕事を同時並行的に動かしています。仕事は基本的に火曜、水曜、木曜に集中させていて、月曜と金曜は一人で仕事をしている時間にしています。企業に常駐する日もあれば、在宅で仕事をする日もあるといった感じで、かなりフレキシブルです。独立したばかりは仕事を詰めすぎて心身のバランスを崩したこともあったので、妻のアドバイスをもとにスケジュールを変えました。

 

ともよ: 夫がフレキシブルな働き方なので、私は家事の面でかなり助かっています。私自身は会社員なので1日のタイムテーブルもほぼ固定ですし繁忙期は帰宅も遅くなるんですが、平日は夫がほぼ全ての家事をしてくれるので本当にありがたいです。

 

――それは心強いですね!

 

創太: 妻がどんな家に住みたいかや家具の配置といった全体的な暮らしを設計してくれるんです。『妻が戦略、夫が実行』ですね(笑)。終日在宅でコンテンツを作っていると行き詰まってしまうこともあるんですが、そんな時に家事をすると頭がスッキリします。家事をやりながら適度に自分のリフレッシュにもなって一石二鳥です。好きな音楽も聴けますし。

 

ともよ: 今後も、出産以外は夫と分担できそうなので、安心です。

 

創太: 出産以外(笑)!  でも、本当、家事も育児も「男だからできない」ってことはほとんどないんじゃないかな。実は、僕には結婚願望も父性みたいなものも全然なくて、もっというと子どもが好きなわけでもないので、黙っていたらきっと何もしないと思うんですよね。でも、妻と話していくうちに考え方や生き方が変わっていって、妻が言うように、出産以外は父親でもやれることがほとんどだとわかりました。家族が増えるこれからの生活が楽しみです。

 

(*)ビジネス系フリーランスとは
営業、人事・労務、経理、財務、広報、PR、マーケティング等、会社で培ったスキルや経験を活かして働くフリーランスのこと。

 

 

Posted by 小山 佐知子

共働き未来大学ファウンダー、ワーク・ライフバランスコンサルタント
詳細プロフィールはこちら

関連記事