こんにちは、プロジェクトサポーター・ライター、どっちもワーカーの村上杏菜です。
待機児童問題に対し、保育所に入れるまでの間のベビーシッター代を補助する制度を東京都が新設する方針とのニュースが昨年末から今月初旬にかけて報道されました。
都がこのような補助を行うのは珍しいとのことで、私もニュースを知った時は「フリーランスも子どもを預けやすくなるかも!?」と、驚くと同時に喜ばしい気持ちになりました。
そして1月26日に発表された正式な予算案によれば、次のように説明されています。
ベビーシッター利用支援事業
保育認定を受けたにもかかわらず、保育所等の保育サービスを利用できずに養育する乳幼児が待機児童となっている保護者が、入所決定までの間の就労のためや保護者が1年間育休を取得した後、復職して認可保育所等の申請を行う場合のベビーシッター利用料の一部を補助
(「東京都予算案の概要」より)
待機児童が少しでも解消されたり、1年以上の育休取得が促進されたりするのはとても良いことだと思います。
ただ、「保育認定を受けた」「認可保育所等」と対象を限定している点を少し残念に感じました。週5日勤務が前提になってしまうからです。たとえば「週に3日子どもを預けて働きたい」という人は完全に対象外なのです。
就労スタイルは自分で選ぶ権利がある
フリーランスのライターである私が目指している働き方は「自分らしい働き方」であり、「仕事も子育てもどっちも」というスタイルです。会社員ママと同じように週5で子どもを誰か/どこかに預けて取材と執筆をこなしている時期もあれば、週に1〜2日程度しか子どもを預けない時期もあります。
私は同様の働き方をしているママを紹介したインタビューブログ「Mamas Be Happy」を運営していますが、彼女たちを取材していて感じることは「就労意欲のある女性のすべてが『週5勤務』を望んでいるとは限らない」ということです。また、周囲のママ友と話をしていて「本当は保育園に預けたくないけど0歳からでないと入園できない」「保育園に預けないと仕事ができない」と葛藤を抱えている人が少なくないことも感じています。
ベビーシッター補助の対象を「認可保育所等の申請を行う場合」と限定してしまうことは「週5のフルタイム勤務」を望む人だけを支援することであり、働くために「平日に子どもと過ごす時間をばっさり手放すこと」を間接的に強いることになります。
これが「仕事か子どもか」の極端な発想を促し「じゃあ、やっぱり働くのは(完全に)諦めよう」と思う人が生まれるのは自然な流れだと思いませんか?
「中間ゾーン」が広がれば、幸せも広がる
でも、働き方のペースって、本来自分で決めるものではないでしょうか。子どもとどれくらいの時間を一緒に過ごすかだって、本当は自分で決めていいことだと思うのです。
その権利を尊重するためには、ベビーシッター代補助の対象を「就労形態と日数を問わず、就労を希望するすべての保護者」にすればいいのではないかと個人的には思います。もちろん、補助金額の上限や補助対象となる子どもの年齢制限を設定した上での話です。
そうすれば、保育園不足や家族のサポート不足により週5勤務に踏み切れなかった層、つまり「働きたくても働けない」と思っていた人たちが“自分のペース”で復職することが可能になります。これは社会にとって新たな労働力の発掘と獲得でもあります。
逆に、もしかしたら「これまで週5フルタイムで働いていたけど、週3にしようかな」という人も出てくるかもしれませんね。
これは企業や社会にとって労働力が減ることに繋がりかねませんが、先に挙げた新たな労働力と相殺されるのではないかと思います。
「相殺されてプラスマイナスゼロならば企業や社会にとって意味がない」と思いますか?
でも、それはずいぶん短絡的というものです。
自分のペースで仕事と子育てを両立することは、本人にとって想像以上に高い満足度をもたらしてくれます。人手不足が加速するこれからの日本企業は「従業員満足度」を大切にせねば生き残れませんし、先進国の中で韓国と並びトップレベルの自殺率を維持している日本において、個人レベルでの幸せの追求なくして明るい未来はやってこないのではないでしょうか。
「週5」でもいいし、「週1」でも「週3」でもいい。「仕事か子育てか」の極端な選択を強いるのではなく、「仕事も、子育ても」の中間ゾーンも認めてほしい。それが真の「多様性」と「女性の活躍」を推進し、社会全体の幸せに繋がっていくのではないでしょうか。
とはいえ、平成31年度末の待機児童解消を掲げ、新たな取組に多額の予算を投じている東京都にはこれからも期待したいと思います!