駆け出しフリーライター あさのみ ゆき の Connecting The Dots Connecting the dots(点と点をつなげる)ということばを聞いたことがありますか? 過去の経験が、その当時は思いもよらなかったことに活かせる状況を指します。誰しも 「あの時の経験がこんなふうにつながるとは!」 と感じた経験があるのではないでしょうか。この連載では「dots」つまり「点」にフォーカスし、自分らしく働きつづけるための一歩の踏み出し方について考えていきます。 3 大企業を辞めフリーランス になって感じたホンネ ←今回はココ |
人生100年時代。終身雇用が崩壊し、時間や場所に囚われない働き方への関心が高まる中、「一社で長く」という従来の働き方から複数の会社を渡り歩いたり、雇用以外の選択をするケースが増えていきそうです。フリーライターの「あさのみ ゆき」さんは、去年、12年間勤めたベネッセコーポレーションを退職しフリーランス として新たな一歩を踏み出しました。この連載では、あさのみさんの体験を通して、 “漂流” しながら目の前のチャンスを掴み、つなげていくキャリアについて綴っていきます。
動いてみてわかった、人生のコントローラーを自分が握る心地よさと恐怖
こんにちは。フリーライターの「あさのみ」と申します。
この連載のテーマはConnecting the dots(点と点をつなげる)。最終回の今回は、私が働き方を変えて感じた気づきをベースに、“目の前の一歩” をつないでつくる未来について考えてみようと思います。
2019年9月末にベネッセコーポレーションを退職し、フリーランスになって約半年が過ぎました。思い切ってキャリアを変えてみて、よかったことも、大変だったことも両方あります。
よかったことは、仕事をやる・やらないの決断権が自分の手の中にあるという実感が持てたことです。
会社員時代は、仕事の選択権は自分にないと思い込んでいました。アサインされた業務を必死にこなすだけで終わってしまっていたのです。考え方次第でその意識は変えられたのかもしれませんが、当時、仕事と育児との両立でいっぱいいっぱいだった私にそこまでの余裕はありませんでした。
今は、仕事のすべてを自分の責任で引き受けることができています。楽しい仕事もあるけど、もちろん苦手な仕事もあり、それは会社員時代と変わりません。だけど、“コントローラー” を自分が握っていると思えれば、辛いことも含めて自分のやりたいことだと捉えられ、前向きに仕事ができます。不思議と子どもへの申し訳なさも薄くなりました。やりたくて、やっている。この感覚は人生に前向きになるためにとても重要でした。
誤解のないように書いておくと、これは、会社員が会社にコントロールされていて、フリーランスだから自由だという単純な話ではありません。会社員時代の私も、最初からハンドリングを放棄していたわけではありませんでした。やりたいことがあって入社し、会社の仕事は楽しくて大好きでしたから。年齢を重ね、会社の環境や自分の価値観が変わっていく中で、会社から求められる職責と自分の描いていきたい未来が少しずつずれていき、その小さな綻びから目を背けていたせいで、だんだんと「やらざるを得ない」というネガティブなモチベーションに支配されてしまっていたのです。だから、遅かれ早かれ職場を去っていたと思います。
さて、話を元に戻し、フリーランス になって予想以上に大変だったことについて。会社員を辞めて痛感していることは、「私は必要とされる人になれるのか?」ということです。
フリーランス は、そもそも「やる・やらない」の前に、誰かに必要としてもらわないと仕事がありません。シビアな世界だと知ってはいましたが、見ると聞くじゃ大違い。会社員のときは、会社に行けば仕事は(死ぬほど!)あったし、評価面談でのフィードバックもあり、自分の価値について深く考えることはあまりなかった気がします。自分が何をしたいのか、何ができるのかを明確に言語化できていなかったことに、今さらながら向き合っています。
「人生の主人公」として自分の生き方をしっかり見直してみよう。働き方を変えてみたことで、強く問いかけられていると感じています。