現代は共働きが当たり前?
今回のコラムでは、“共働き”というキーフレーズからフリーランスを見ていきたいと思います。
国の調査によるとわが国の共働き世帯は1114万世帯(2015年現在)。専業主婦世帯の687万世帯を大きく引き離し、増加の一途を辿っています(なお2011年は東日本大地震・震災において被災した岩手県、宮城県、福島県を除外して計算)。
図-1 共働き等世帯数の推移(内閣男女共同参画局「男女共同参画白書 平成28年度版」より作成)
では、フリーランスに占める共働き割合はどうなっているのでしょうか。経済産業省「雇用関係によらない働き方」に関する研究会報告書(以下、報告書と記す。図2,3,4,5も報告書より引用)に興味深いデータが掲載されています。
図-2 働き手の性質・年収
上記データはA、B、C層(各層の詳細は第2回コラム参照)における配偶関係とともに、パートナーが仕事をしているかどうか。つまり“共働き率”が分かるのですが、これによると雇用関係を持たないA層で約4割。雇用関係があるB、C層においても5割に迫る勢い。
フリーランスは収入が安定しない、よって共働き率は当然高いのだろうという思いがあったため、上記の結果は腑に落ちるところ。興味深いのは報告書の参考資料にあるクロス集計の結果です。
知られざるフリーランスの“共働き”実態
スキルレベル(※注1)と就業リスク(※注2)の2軸から「雇用関係によらない働き手」の実態や課題に迫っています。カテゴリーマップと4つのカテゴリー別の性別・年齢・配偶関係は図3、4の通り。
図-3 カテゴリーマップ
図-4 カテゴリー別属性(性別・年齢・配偶関係)
カテゴリーマップ①、②(「主たる生計者」)の共通点として
・年齢層は子育てがひと段落する50代以上が多く、30代の割合は総じて低い
・男性比率が高い(7割以上)
・配偶者なしの割合が高い
・共働き率が低い(2~3割)
同③、④(「主たる生計者ではない」)の共通点として
・年齢層は20~30代の割合が高い
・女性比率が高い(約5~7割)
・配偶者なしの割合が低い
・共働き率が高い(5~6割)
が読み取れますね。
また、働き方を選択した理由では報告書本文の分析では見られなかった傾向が明らかに(図ー5)。
図-5 現在の働き方を選択した理由
報告書本文ではA、B、C層の「家族との時間をとるため」が15%弱、「結婚・出産のため」はおよそ10%でした。にも関わらず、参考資料のクロス集計では「主たる生計者」において両選択ともその割合が大幅に減少、「主たる生計者ではない」場合、両割合ともに上昇しているのです。
上記結果には家族の形態(核家族や大家族など)や住まうエリア等が考慮されていません。そのため、この結果をうのみにはできませんが、年齢層と男女比率による差が要因、とみることもできるのではないでしょうか。
個人的には20~30代フリーランスにスポットを当て「配偶関係」「共働き率」が一体どうなっているのか。その詳細データ公表と今後の継続調査を希望したいところです。
自分のライフイベント、ライフタイルに合わせて「自分らしく」仕事をする――。フリーランスはそういった働き方ができる最たるものでしょう。そして、共働きフリーランスが近年増加傾向にあるのはまぎれもない事実であり、彼らが「自分らしく」から「自分たちらしく」にシフトすることは想像に難くありません。
将来パートナーとどういう形でありたいか。共働きにおいて自分らしい働き方を考えるということは、パートナーとの関係性に向き合うことなのかもしれませんね。
【※注1】顧客に対する価格交渉力:スキルに見合った単価で、継続した案件の受注ができているか
【※注2】生計の状況:「本人の収入」、「世帯の収入」回答を踏まえて、世帯の主たる生計者であるか否か
【参考】