2017.08.31,

仕事一筋17年の父が離婚危機を経て気づいた4つのこと -前編-

共働き未来大学学長の小山 佐知子が、これからの共働きの形や働き方・生き方について語り合う対談特集。記念すべき第1回のゲストは、会社員として働く傍ら『チャイルド・ファミリーコンサルタント(※1)』としても活動するパラレルワーカー、河本晃さんをお迎えしました。

“家族”について考え寄り添う河本さんは、大学生の息子さんと娘さんをもつパパでもあります。事実は小説よりも奇なり、もとい子育てや夫婦・家族にはビックリするぐらい、いろんなことが起きるそう。結婚生活23年を振り返り、夫婦関係や仕事のこと、そしてこれからの家族についてなど貴重なお話を伺いました!
(※1) NPO法人子育て学協会が養成・資格の認定を行っている、家族と子育ての専門家のこと。以降CFCと表記。

河本 晃氏プロフィール
株式会社リクルートで人事、営業、商品企画、営業組織長を経験し計24年。ブライダル情報誌『ゼクシィ』の立ち上げから成長期を牽引し、一方で実業団アメフトチーム『シーガルズ』のワイドレシーバーとして2度の日本一にも貢献。現在はアイティメディア株式会社でマーケット開発を担当。大学生の長男長女と妻の4人家族。仕事最優先という価値観と行動が原因で夫婦の危機を迎えたことをきっかけに、NPO法人子育て学協会にて学びを開始。今では子育て学協会理事として子育て学講座の講師を担当、また妻とともに個別の家族相談のワークショップも提供している。

17年間仕事一筋だった父が『ファミリービルディング』を学んだきっかけは離婚危機

小山:河本さんの華やかなご経歴や、バリバリお仕事をして体も鍛えているスポーティな印象からは、正直 “子育ての専門家” という感じがしないのですが……。のっけから失礼をすみません(笑)。会社員でありながら“家族”をテーマに活動しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

河本:ズバリ言うと、自分自身に起きた離婚危機です。私は結婚し子どもができてからもずっと、自分の仕事とアメフトチームでの活動を最優先にしてきました。妻はそんな私を長年応援してくれていたんですが、私のあまりにも自分優先な言動が彼女の中に積み重なって結婚17年目にして「いよいよマズイ」となってしまったんです。

小山:離婚危機……。それはまたヘビーな。ちなみにその「いよいよマズイ」というのはどんな感じだったのでしょうか?

河本:何ていうか、「一緒にいるけど一緒にいないような、とても寂しくて心が寒い」という感じですかね。人は、諦めの境地に至ると相手に対して何の感情も持たなくなるんです。

小山:つまり、奥様が “諦めの境地に至った” と?

河本:はい。それまでも妻から文句を言われたり怒られたり泣かれたりしてきましたが、私はいつもその場しのぎで「ごめんな」と謝っていただけでした。その結果、妻は諦めの境地に至り、何も言わなくなった。私抜きの人生を真剣に考えていたようです。彼女から具体的な『離婚』という言葉が出たわけではなかったのですが、逆にそれが今の自分(たち)に起きているマズさを感じさせたというか。

小山:……なるほど。チャイルド・ファミリーコンサルタント(以下、CFC)の入り口が、まさかご自身の離婚危機だったとは。けれど、やっぱりちょっと分からないのですが、そうした夫婦の問題を解決するのに、なぜ “学びの場に出向くこと” が必要だったのでしょうか?

河本:家族というものを体系立てて学びたかったからです。離婚危機に陥り「家族って何なんだろう」という根源的なことに行き着いたときに、一人で考えていても頭の中がグルグルしてしまって進まないな、と思ったので。

小山:その気持ち、ちょっと分かる気がします。自分一人だと感情的になったり堂々巡りになったりしますもんね。

河本:それだけ当時の私は「 “試合放棄” したくない」という思いに駆られていました。かつての私は夫婦や家族について真剣に考えたことがなかったと気づいたんです。仕事やアメフトのことは一生懸命でも、妻や子どもたちについては(たまにしか一緒にいないけど)なんとか元気にやってるでしょ、くらいにしか考えていなくて。

小山:つまり、それが “試合放棄” だと……?

河本:そう。このまま離婚し、家族がバラバラになってしまうのは試合放棄のように感じたんです。自分は実質、家族づくりという “試合” に出場していない、それはよくない、と。そんな時に、NPO『子育て学協会』会長の山本直美さんの話を聞きまして、すぐに半年間のCFC養成講座に申し込みました。ちゃんと体系立てて学べそうでしたし、深く考えてこなかった「家族」というものにじっくり向き合う機会になるな、と思ったので。

小山:なるほど! だとするとCFCや子育て学との出会いは必然だったのかもしれませんね。

河本:もちろん、学んだからといってすぐに夫婦関係がよくなったわけではなかったですけどね(苦笑)。その後2年ぐらいかけて試行錯誤しながらジワジワと関係が改善していったのかな。

Posted by Yamada Ikuko

編集&ライター業のママフリーランス。会社員の夫とともに「わが家らしい共働きスタイルってなんだろう?」と日々模索中。
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