家族のカタチは家族の分だけ
古い価値観に引っ張られず、自分たちらしさをつくる
河本:時とともに夫婦の形は変化していきますからね。決して固定したものはないんです。自分たちらしく変化していけばいいというか。
小山:夫婦の形はもちろん、家族もそうですよね。河本さんは前編で、「 自分の生い立ちを整理することで自分の価値観を知った」とお話されていましたが、私自身もやっぱり親の影響があったというか、結婚前に「いい夫婦・家族ってなんだろう?」と考えることがありました。
河本:なるほど?
小山: ひと昔は『おしどり夫婦』がよし、みたいな美徳というか、価値観があったじゃないですか。私の両親はまさにおしどり夫婦で仲が良いのですが、そうはいっても長年専業主婦だった母が、経営者だった父に合わせてきたというか……。仲の良さは互いの平等の上にあるものではなく、どこか主従関係の上に成り立っているような気がして。
河本: “稼ぐ夫と家庭を守る妻” という戦後日本の夫婦の形は、とてもわかりやすい分業体制でしたからね。
小山:はい。そしてそこに濃度の差あれど “妻は夫に尽くすべき” という価値観が乗っかっている。父がお茶やコーヒーを自分で淹れることがないのも、出張の荷造りを自分でやらないのも、私はずっと当たり前だと思っていました。だから、大学時代に友人の実家に泊まりに行ったとき、友人のお父さんが朝食を作ってお母さんが食べている光景を見て、すごくびっくりしたんです。「そんなことしていいの?」みたいな(笑)。あ、そのご家庭は夫婦共働きでした。
河本:でも、そうやって異なる家庭を見るというのは気づきや学びにもなりますね。
小山: 私の夫は父とは全く違うタイプで、結婚当初から家事の半分以上を進んでやってくれています。私は両親をリスペクトしつつ、無意識のうちに「こんな家庭を築きたい」というイメージをつくっていたのかもしれません。今も家事育児を私以上に頑張ってくれる夫がいるからこそ、私は心置きなく動き回れます(笑)。
河本: 小山さんは家庭も仕事も共働き未来大学の活動も大事にしたい方ですもんね。
小山: はい。これが私の生き方なんですね。他の誰かにとっての正解ではなく、私にとっての心地いい生き方。それぞれに自分なりの “心地よさ” を見つけられるといいですよね。今の女子大生の中には専業主婦になりたいと思っている人も多いようですが、それも一つの価値観で誰かが否定することじゃないと思っています。
河本: もちろんそうですね。ただ、一つ言えることは、これからの社会はますます夫婦共働きが前提になっているということ。これを個人がどう捉えて、それぞれのキャリアや家族形成をどう考えていくのか。そこが大事ですね。
小山: 本当に、好むと好まざるとにかかわらず共働きが当たり前になっていますからね。私たちの世代は実の母親が専業主婦だった人も多いので、働くママの中には子どもと一緒にいられる時間が短いことにモヤモヤしたり、育つ過程で無意識に醸成されてきた “こうあるべき” に囚われて悩んだりしている人もいます。親は親、自分は自分。そんな風に割り切って考えていかないと、この先共働きカップルはちょっとしんどくなります。なので、共働き未来大学としては、そういう部分に一石投じるイベントやワークショップを開催していきたいんです。